こちらの商品は、昭和34年に発売された松下電器産業のT-60型、2バンド(短波+中波） ポータブル8石トランジスターラジオ受信機、劣化した電子部品（コンデンサー等）を新品に交換した整備済良品です。フロントグリルは、シルバーとゴールドを基調とした高級感漂うデザインです。松下電器の初期のトランジスタラジオ受信機です。
このラジオの発売価格は、12,900円でしたが、その昭和34年の大卒初任給（公務員）10.200円、高卒初任給（公務員）6.700円 、週刊誌30円だったことからすると、随分と高価なラジオ受信機だったことが判ります。デザイン的にお弁当箱のようなキャビネットですが、内部を観ると重厚な造りです。
また、使用されているバリコンはポリでなく、金属製エアーバリコンを使った初期の２バンドトランジスターラジオ受信機（1960年4月以降に発売された松下電器のトランジスタラジオはプラスチック製のポリバリコン）です。しっかりした製造で短波放送もロッドアンテナを引き出しチューニングすると結構感度が良い。本体左上に付くラジケーターはチューニング受信状態および乾電池残量を表示していますが、（高額なラジオとしては当然かもしれませんが）このメーターが付いているヴィンテージラジオは意外と少ないです。
▼左側面のイヤホンジャックは上下２つあります。
◆本体のフロントグリルは上下シルバーとゴールドを基調とし、金属メッシュのスピーカーカバーはゴールド仕上げです。
この型番は日本国内向け仕様ですが、本体キャビネット左下の「NATIONAL」エンブレムが単に相手方ブランドになっただけの製品も存在します。その製品は1960年春に北米市場向けにはアメリカの大手オーディオメーカー（Craig Electronics Inc.）へOEMしたクレイグ(CRAIG）Model No.602です。
この「NATIONAL」が「CRAIG 602」とエンブレムを差し替えただけ。この当時は北米市場において日本製トランジスタラジオの販売力は弱く、
強固な販売チャンネルを持つ現地の相手方ブランドで販売したのは松下電器でけではありません。サンヨーは「チャンネルマスター社」のOEM販売し、
ソニーは「デルモ二コインターナショナル社」へ販売委託したそんな時代でした。
▼太いロッドアンテナの直ぐ横には、外部アンテナ端子が付いています。
《製品仕様》
・メーカー： 松下電器産業
・型番： Model No.T-60
・受信バンド：
短波・3.9〜10.0MHz
中波・540〜1605kHz
・回路：スーパーヘテロダイン
・トランジスター：8石 (2SA103・2SA103・2SA102・2SA102・2SB171・2SB171・2SB172・2SB172)
・スピーカー：直径 7.6cm
・電源：DC 4.5V / 単二乾電池 3本
・外寸サイズ： 約179mm x 105mm x 45mm
・発売時期：1959年／昭和34年
・当時販売価格： 12,900円
・製造国：Made in Japan / 日本
《商品の状態》
・セコンドハンド・中古品ですが、経年劣化したコンデンサー等の電子部品を新品と交換済の整備品です。また、キャビネットケース底の傷はエポキシ樹脂で修復して黒色で塗りました。
その他、極く小さな擦りキズや経年汚れがありますが、全体的にはたいへん綺麗な状態です。
・たいへん元気な稼働品です。
・ロッドアンテナは真っ直ぐに伸びます。
・プリント基板等は綺麗です。
・付属の乾電池フォルダー（円柱形の筒）には一部汚れと欠けがあります。
・東京都板橋区における受信状況は、中波：NHK第１、NHK第２、TBSラジオ、AFN (American Forces Network) ラジオ（アメリカ軍放送）、文化放送をいずれも元気良く受信しました。
・元箱、取扱説明書、イヤホン、乾電池は付きません。
＊冒頭に記載のサイズは、商品出荷時の梱包目安総重量（g）です。
Rev.: 2017- 7-14 (金曜日）
▼参考画像： 昭和30年代の松下電器の広告。
