こちらの商品は、昭和37年に東京都葛飾区四つ木の玩具メーカー・
TOMYブランドの
株式会社富山玩具製作所(現在タカラトミー)から発売された電動ブリキ玩具のVickers Viscount
『SASスカンジナビア航空』の旅客機です。ただし、この販売は国内向け組み立てキットを除き、アメリカ資本(本社東京)の大手玩具輸入業者
Rosko Tested Toys(1967年倒産)によって行われました。当時大ヒットした
野村トーイ製 電池式バーバーテンダー"Charley
Weaver"をはじめ1950年代後半から1960年代中期まで沢山の日本のゼンマイ式および電池式のおもちゃも
Rosko Tested Toys社によって主に北米へ出荷、販売されました。しかし、このVickers Viscount旅客機に至っては主翼や胴体の一部が貧弱なプラスチック成型であることから今、現存する数は比較的少ないようです。
この航空会社
SASスカンジナビア航空は1946年にデンマーク、ノルウェー、スウェーデンのエアライン3社が合併し、誕生しました。よってブリキ製の垂直尾翼辺りの胴体左右には北欧三国の国旗が実機同様に描かれています。
この製品は、
SASスカンジナビア航空の
機体番号S1751A機をモデルとしたもので、主翼の全幅は約50cmの大型サイズで手にするとずっしりと重量感があります。
このおもちゃは、前方のコクピットと後方のキャビンのどちらの雰囲気も楽しむことが出来ます。
◆胴体客室の窓11個の内、主翼付近4個の窓部分が透明プラスチックのスケルトン構造です。
◆ブリキの胴体には
『SCANDINAVIA AIRLINE SYSTEM』の標記、垂直尾翼にはそのロゴ文字『SAS』の標記があります。
■参考までに、この製品には『AMERICAN AIRLINES(アメリカン航空』及び『全日本空輸(ANA)』仕様も存在します【参考画像を参照】。当時いずれも1,370円で全国のデパートのおもちゃ売場等で販売されましたが、昭和37年(1962年)の貨幣価値からすると、当時としては容易には手が届かない高額・高級品の電動おもちゃでした。
▲アメリカン航空の仕様
▼全日空の仕様
◆参考画像:発売当時の富山製作所のカタログより。ANA(全日本空輸)
▼参考画像:パッケージ(箱)
◆(注)、この箱は参考画像です。こちらの商品には箱は付きません。
▼箱にも、英文で「アテンションプリーズ」の文字と共にスチュワーデスの機内サービスの様子が描かれています。
飛行機の胴体の一部が透明スケルトンになっており、忙しく動き回るスチュワーデス(キャビンアテンダント)のフィギュアを覗き込んでいると、雰囲気が盛り上がる
「アテンションプリーズ」のミニチュア・ワールドの世界に引き込まれます。
◎操作方法は、まずは単1乾電池2個を胴体前方の電池ボックスにセットします。
ちなみに、この製品には電動おもちゃの多くに付いている黒色スライド式の
ON/OFFスイッチは初めから存在しません。まずは、機体先端の赤いレバーを引き、開閉式コックピットを開く。コックピット内にある3つのレバーの真ん中の
"ON/OFF"(電源)レバーを引くと、主翼左右の先端にある赤色および緑色の極細の麦球(マイクロ豆電球)が交互に点滅します。
この赤色および緑色は飛行する飛行機の向きを知らせるための
『ナビゲーションライト』で、実際に旅客機にも付いている照明装置です。
さらに、飛行機のキャビネット(機内)の照明が点灯し、4列座席の中央通路ではスチュワーデス(キャビンアテンダント)のフィギュアが通路の前後を忙しく往復し、さらに注目は折り返すときには、スチュワーデス(キャビンアテンダント)のフィギュアはちゃんと正面に180度向きも変える動作をします。素晴らしいカラクリです。
▼スチュワーデスは灯りの近くで前向きに立っています。
▼スチュワーデスは後方へ移動しました。
▼スチュワーデスは灯りの近くで後ろ向きに立っています。
▼機内の通路パーテーションの左側には大西洋路線のルート地図が描かれています。
▼スチュワーデスは後ろ向きで居ます。
【YouTube で公開している当店による操作動画をご参照くださいませ。】
次にコクピットの左と右のレバーを引くと、どちらからでもOKです。左側のレバーを倒すと主翼左側の2つのプロペラが回転する。また右側のレバーを倒せば主翼右側の2つのプロペラも回転します。
プロペラが回転した状態で、操縦席の透明フードを閉めると、この飛行機は電動走行を始めるのですが、残念ながら、現状この商品は走行出来ません。コクピットの透明フードの開閉操作は電動走行の
"ON/OFF"スイッチになっています。本来は、コクピットのレバーをセットした後でコクピットの透明フードを閉じると走り出す設計です。
このおもちゃは、前方の操縦席と後方の客室のどちらの雰囲気も楽しむことが出来ます。
拡大画像をご覧いただきましても判るようにコックピットのパイロットや客室の乗員・乗客の細かな再現も見事です。この北欧『SAS スカンジナビア航空』のホワイト、ブルー、レッドを基調とした機体デザインは、お部屋にディスプレイするだけでも雰囲気のある空間を演出してくれることでしょう。
■製品仕様
・製品サイズ:全長45cm×幅50cm×高さ20cm
・材質:ブリキ(コクピット、胴体上部、尾翼、垂直尾翼)、スチール(電池ボックスのフタ、ギアボックス)、ダイキャスト(操作レバー、前輪の支柱、ホイール)、プラスチック(主翼、プロペラ、客室)、ゴム(タイヤ)
・メーカー:富山製作所(TOMY)
・発売元:Rosko Tested Toys
・生産国表示:MADE IN JAPAN
・動力:馬淵モーター×1基
・電源:単一乾電池×2個
※:乾電池は付いておりません。
■商品の状態
・1962年に発売された電動おもちゃの中古品です。
・擦り傷や経年汚れがあります。
・左右合計4発のプロペラは回転します。
・主翼左右のナビゲーションランプは点滅します。
・客室内の照明は点灯します。
・スチュワーデスのフィギュア(人形)は前後に動き、方向転換もします。
・モーターは稼働していますが、機体は走行しません。
・元箱、取扱説明書、乾電池は付きません。
・プラスチックで出来ている主翼の中央付近にはひび割れを修理した跡があります。
・主翼と胴体との結合する部分辺りにセロハンテープもしくはビニールテープ等を剥がした跡の汚れが付着しています。
※参考:現存するこのおもちゃは、大空へのフライトを夢見る子供たちによって、当時いっぱい操作して動かして遊びを楽しむ玩具の性質上、現在、せっかく見つけても、機体やプロペラが折れている、プロペラが回転しない、主翼左右や室内の照明が点灯しない、室内のスチュワーデス(キャビンアテンダント)のフィギュアが動かない、操縦席と客室の透明アクリール製フードが破損もしくは欠品している、ブリキ製の電池ケースの蓋(胴体カバー)が欠品している、などの保存状態が非常に悪い場合が大半です。
▼この商品の動画:撮影時間4分22秒間