1957年、世界最小のトランジスタラジオと言われ東通工(ソニー)TR- 63型

1957年、世界最小のトランジスタラジオと言われ東通工(ソニー)TR- 63型
更新

東通工/東京通信工業(改名後:SONY)は1957年3月、世界最小のトランジスタラジオと言われTR- 63型(6石、112×71×32mmサイズ)を発売、高感度、出力と消費電力とも優れており、発売早々から評判になった。 価格は、1万3,800円で、これはちょうど、その昭和32年当時のサラリーマンの1ヵ月の平均給与に相当する額であった。

ソニーは、1957年9月から米国・ニューヨーク近郊のロングアイランド市に本社を置くデルモニコ・インターナショナル社の販売網を活用して、米国全土にラジオを出荷して、ソニーの名は最高級トランジスタラジオの代名詞のごとく言われ、親しまれるようになった。その3、4ヵ月後の1958年1月13日、ニューヨーク市のデルモニコ社の倉庫から1梱包10個入りのソニーTR-63型ラジオ400梱包(ダンボール箱入り)の盗難事件が起きた。その盗賊はSONY製TR-63をだけを盗んだのである。

このニュースのお陰で、ソニーは一躍有名になった。これは、アメリカの業界はじまって以来の大泥棒だといって、その大胆な手口といい、ソニー製だけを持って行く利口さといい、新年早々からニューヨークっ子の格好の話題をさらってしまったのだ。